MちゃんとS上司の恋模様
「真琴ちゃん、今日はもう良いわ。帰りましょう」
「えっと、久美さん?」
二人のやり取りをオロオロと見つめる。
困って久美さんを見上げた。
久美さんは慈悲溢れる笑みを浮かべたあと、再び視線を鋭いモノにして須賀主任を睨みつける。
「真琴ちゃんは帰らせます!」
「うるせーな、相変わらず」
「なんですって!!」
「久美さん、落ち着いて!」
須賀主任を殴りそうな勢いの久美さんを必死に止めていると、須賀主任は腕時計に目を向け、徐にスマホを取り出した。
突然どうしたのか、と私と久美さんは首を傾げる。
なぜかこのタイミングで須賀主任はどこかに電話をし始めたのだ。
それを見てますます怒りに震えた久美さんは、地団駄を踏む。
「何よ、何様よ! 本当に昔っから腹の立つヤツだったけど、この数年でより俺様ぶりに磨きをかけたみたいね」
「まぁまぁ。久美さん、とにかく落ち着きましょう!」
久美さんがあんまりに怒るものだから、宥め賺すのに必死だ。
自分だって先ほどまで須賀主任に対して不満をダラダラと漏らしていたのだが、久美さんの剣幕を見たら落ち着いてしまった。
半笑いしていると、久美さんは矛先を私に向けてくる。