MちゃんとS上司の恋模様
私は二人を苦笑いしながら見つめたあと、再びファイルを開いてチェックをし始める。
だが、すぐに大きな手のひらが近づいてきてファイルを閉じられてしまった。
「え? 須賀主任?」
「今日はもう終わりだ。聞こえなかったか?」
ジッと私を見つめる須賀主任の目があまりに近くて、大きく胸が高鳴る。
ビックリしすぎて勢いよく立ち上がってしまった。
そんな私の行動が面白くなかったのか。須賀主任はもっと私に近づいて来た。
「とりあえず終了だ。帰る支度をしろ」
「でも! 須賀主任が言ったんですよ? このファイル、今日中にやっておけって」
「そんなこと言ったか?」
「はぁ!? 言いましたよ。私はこの耳でちゃーんと聞きました」
髪を耳にかけ、指を差す。すると、須賀主任は不敵に笑った。
「まぁ、なんでもいい。とにかく帰るぞ」
「はぁ!? 何よ、それ。キチンと説明しなさいよ」
「多田、お前うるせぇー」
耳を押させて顔を歪める須賀主任に、久美さんは「なんですって!」と顔を真っ赤にして怒り出した。
このまま二人を放置していたら、殴り合い、ののしりあいの喧嘩をし始めてしまいそうだ。
大きくため息をついたあと、私は再びファイルに手を伸ばす。