MちゃんとS上司の恋模様
「主任はお帰りください。私は仕事を全うしますから」
「だから、もういい。帰るぞ」
「ちょっと、須賀主任! 私のことなど気にせず帰ってくれればいいんですってば!」
こちらとしても意地だ。ムンと唇を横に引いた。
そんな私を見て、須賀主任は肩を竦める。
「……とにかく帰るぞ」
「ちょ、ちょっと!」
須賀主任は山となっていたファイルを両手で抱え、ササッと戸棚に閉まってしまった。
あっけに取られていると、須賀主任はフッと優しい笑みを浮かべた。
再びドキッと胸が高鳴ってしまう。
戸惑う気持ちを隠しながら主任を見つめると、彼はジャケットを羽織りながら言った。
「麦倉。駅まで送ってやる」
「べ、別に! 一人で帰ることできますから」
プイッと顔を背けて視線を逸らすと、久美さんがそれに応戦してきた。
「そうよ、そうよ。須賀はさっさと一人で帰れば〜? 真琴ちゃんは私がしっかり駅まで送り届けるから心配ご無用よ!」
シッシッと手で追い払う仕草をする久美さんに、須賀主任は無表情で口を挟む。