不器用な彼女
店の大将にも「彼女なんです」なんて紹介してくれちゃって。。。
本当に社長の彼女になったんだと実感が湧く。




「恭ちゃんよ、そういや、勝成は元気なのか?たまには顔出すように言っといてくれねぇか?」

寿司を鮮やかに握りながら大将は目を細める。“恭ちゃん”なんて顔してないのに、当たり前に呼ばれている。きっと昔からの仲なんだろう。
社長のプライベートを知ったようで嬉しくなる。

「言っときますよ、今でもちょこちょこ会うんで」

「仲良かったもんね、勝成と恭ちゃんはさ…あいつ、腕も舌も優秀で…10年に一度の逸材だと思ったのになぁ、辞めちまってよ〜」

残った弟子にロクなのが居ないと小声で愚痴をこぼし笑う大将。

「聞こえたらマズイでしょ」なんて社長も小声だ。


寿司も料理も美味しく、程よく酔っ払いになる。
お酒のせいか、疲れのせいか、少し眠い。

お腹イッパイ胸イッパイで店を後にした。



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