不器用な彼女

どのくらい走っただろうか、立派なお宅に到着する。都内の閑静な住宅地だ。

車の中からリモコン操作でガレージのシャッターが開くらしい。


「凄い!ここ何処ですか?」

「…アホ。やっぱり話を聞いてなかったな」

「…すみません////」

ちゃんと人の話は聞かなきゃね。


「ここ、俺んち。車があると飲めないからここから歩き。帰りはタクシー拾ってやる。…質問は?」

「アリマセン」


12月に入り、今日は特に冷え込む。
吐く息は白く、空の星も綺麗に見える。

社長は車を降りるとコートに袖を通した。


「社長に誘ってもらえるなんて…初めてですね」

「たまにはいいだろ?」

そう言って笑った顔は素敵だった。



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