不器用な彼女
尚美は今頃アパートに着いただろうか?
そのうち「あれ、どこ?」「これ持ってく?」と連絡がくる気がする。
ブー、ブー、ブー、ブー
マナーモードになっている携帯が枕元で震える。
珍しい。母親からだ。
「もしもし、元気だよ」
『詩織!どこに居るの?!』
入院も妊娠もまだ知らせてない。とっさに嘘をつく。
「…何処って…友達の家だけど?」
『何処の友達よ?!』
「…東京の?」
『え?そうなの? …ちょっと待って?…あの、うちの娘、友達の所に居るそうですけど?…ええ…ハイ…お騒がせしました。はい、有難うございました』
受話器の向こうで母親が誰かと話してる様子だ。
「ちょっと…お母さん? 何をゴチョゴチョ言ってんの?」
『ゴチョゴチョじゃないわよ!あんた行方不明なんだって?』
行方不明…そう言われれば確かにそうかも知れない。
『昼間はあんたのアパートの管理会社から電話が来るし、今は警察からよ!何かやったのかと心臓止まるかと思ったわよ!」
郵便物やポスティングチラシがポストから溢れていたのだろうか?それを心配されて不動産屋から警察に連絡が行ってしまったのだろうか???
少し腑に落ちないけど、母親の慌てっぷりが目に浮かんでつい笑ってしまう。
『笑い事じゃないわよ、全く!あ、ちょっとまってて?』
「うん」
今度は父親に電話を代わるのかな〜なんて声を待つ。父親と話すのも久し振りだ。
受話器の向こうで電話の相手が変わったような気配がする。
「あ、お父さん?元気?あのね、もう少ししたら仕事辞めてそっちに帰ろうと思うんだけど…相談したい事もあるから来月あたりに一度帰るね。
あ、お土産は何時もので良いかな?ほら、お父さんの好きなバナナのやつ。普通のとチョコと…どっちがよい?」
赤ちゃんの事、相談しなくちゃ!と心の中で焦っているからなのか、詩織はペラペラと話す。
母を口説き落とす自信はあるけど、普段寡黙な父はどんな反応をするか分からない。
黙って受け入れてくれるかも?
怒って暴れるかも?
父親からの返事はない。「うん」とか「ああ」とか「チョコが良い」とか言ってくれても良いのに。日頃から返事が短すぎて会話が成り立っていないようにも思うけど、父はそんな人だし、そんなのは慣れっこだ。
「お父さん?ウンとかスンとか言って?」
『…無事で、良かった』
(!!!!!!?)
そのうち「あれ、どこ?」「これ持ってく?」と連絡がくる気がする。
ブー、ブー、ブー、ブー
マナーモードになっている携帯が枕元で震える。
珍しい。母親からだ。
「もしもし、元気だよ」
『詩織!どこに居るの?!』
入院も妊娠もまだ知らせてない。とっさに嘘をつく。
「…何処って…友達の家だけど?」
『何処の友達よ?!』
「…東京の?」
『え?そうなの? …ちょっと待って?…あの、うちの娘、友達の所に居るそうですけど?…ええ…ハイ…お騒がせしました。はい、有難うございました』
受話器の向こうで母親が誰かと話してる様子だ。
「ちょっと…お母さん? 何をゴチョゴチョ言ってんの?」
『ゴチョゴチョじゃないわよ!あんた行方不明なんだって?』
行方不明…そう言われれば確かにそうかも知れない。
『昼間はあんたのアパートの管理会社から電話が来るし、今は警察からよ!何かやったのかと心臓止まるかと思ったわよ!」
郵便物やポスティングチラシがポストから溢れていたのだろうか?それを心配されて不動産屋から警察に連絡が行ってしまったのだろうか???
少し腑に落ちないけど、母親の慌てっぷりが目に浮かんでつい笑ってしまう。
『笑い事じゃないわよ、全く!あ、ちょっとまってて?』
「うん」
今度は父親に電話を代わるのかな〜なんて声を待つ。父親と話すのも久し振りだ。
受話器の向こうで電話の相手が変わったような気配がする。
「あ、お父さん?元気?あのね、もう少ししたら仕事辞めてそっちに帰ろうと思うんだけど…相談したい事もあるから来月あたりに一度帰るね。
あ、お土産は何時もので良いかな?ほら、お父さんの好きなバナナのやつ。普通のとチョコと…どっちがよい?」
赤ちゃんの事、相談しなくちゃ!と心の中で焦っているからなのか、詩織はペラペラと話す。
母を口説き落とす自信はあるけど、普段寡黙な父はどんな反応をするか分からない。
黙って受け入れてくれるかも?
怒って暴れるかも?
父親からの返事はない。「うん」とか「ああ」とか「チョコが良い」とか言ってくれても良いのに。日頃から返事が短すぎて会話が成り立っていないようにも思うけど、父はそんな人だし、そんなのは慣れっこだ。
「お父さん?ウンとかスンとか言って?」
『…無事で、良かった』
(!!!!!!?)