二番目でいいなんて、本当は嘘。
「薫のこと、もっと知りたくない? 知りたいよね!」
「いや、私はその……」

桐生社長のことを知りたいとは思っていたが、すずの口からとんでもない事実を告げられそうな気がして怖い。

すずは、そんな私の気持ちを知ってか知らずか、聞きもしないことをペラペラと話しだした。

「薫はね、とーっても可哀想な人なの。あ、ちなみに私と薫、血がつながらない兄妹だから」
「そんなプライベートなこと、さらっと話しちゃっていいんですか!?」
「あ、いいのいいのー」

デスクに貼り付けたままだった、すずのIDとパスワードのことを思い出す。
この子には、〝プライバシー〟とか〝情報リテラシー〟という概念はないのだろうか。

「でも、未央ちゃんにだから話すんだからね」

すずは、唇に人さし指をあて、小首をかしげて魅惑的に微笑んだ。

「薫も、未央ちゃんって呼んでいたから、私もそうしていいよね」

またしても、聞きもしない情報を放ってくる。
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