二番目でいいなんて、本当は嘘。
大きな手のひらが、慈しむように私の頭を撫でる。
あの日の夜、一晩中包まれた甘い香り。

「悲しいときは、泣いてもいいんですよ」

頭の上から、やさしい囁きが降ってきた。

「涙は、心の汗らしいです」

青春ドラマに出てきそうな、くさいセリフだ。
なんだかおかしくて、私はうっかり笑ってしまった。

そしたら、涙がポロリとこぼれた。

「う……」

悲しさとか悔しさを、私は必死でごまかしていた。
けれど、小さなが穴が丈夫な土手を壊すように、一粒の涙が私の心の堤防を決壊させた。

我慢しようとしても、次々と涙があふれてくる。
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