二番目でいいなんて、本当は嘘。
私が薫さんの服を選び、薫さんが私の服を選ぶ。

周りにはたくさんの人がいるけれど、私たちのことを知っている人は誰もいない。
スーツを脱ぎ、カジュアルな服に着替えた薫さんはとても普通で、一流企業の社長には見えない。

そうはいっても、背が高くて端正な顔立ちをしているので、すれ違う女性はみな薫さんに目をとめるのだけれど。


私は少しだけ、このすてきな自分の恋人を自慢したくなった。

薫さんの右手に、そっと自分の左手を重ねてみる。
薫さんは目を細めたあと、包み込むように私の手を握った。

そして、
「こうしたほうが恋人らしいですかね」
と言って、指を交互に重ねて握り直し、恋人つなぎをした。
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