二番目でいいなんて、本当は嘘。
「あ、でも、電車に乗せていくことはできないか……」

帰宅ラッシュのピークは過ぎているはずだが、こんなダンボールを抱えて電車に乗るわけにはいかない。
タクシーの費用は、想像するだけで怖い。


「それでは、秘書に家まで送らせます」
「いいんですか?」

若い男性秘書は、柔和な笑顔で言った。

「第一秘書は、すでに社に戻って会議の準備をしているはずです。私の仕事は、主に車の運転ですから」

「じゃあ、お願いします」

電車だと乗り換えの都合で1時間かかるが、車であれば、40分そこそこで家までたどり着く。
それに、途中で仔猫用のミルクも買っていかなければならない。


私は湯たんぽがわりに自動販売機でホットの飲み物を買うと、秘書の男性のあとに続いて社用車の駐車スペースに向かった。
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