二番目でいいなんて、本当は嘘。
おじいちゃんは、生きていたころ、常連客の桐生社長をことのほか気に入っていた。
人情に厚かったおじいちゃんだから、同じように人情味のある桐生社長と共感するものがあったのかもしれない。

店の常連といっても、私自身はそんなに深く桐生社長のことを知っていたわけではないけれど、いい加減なことをするような人には見えなかったし、そんな人を祖父が信用するはずがない。


あの夜のことだってそうだ。

昔の恋人を思い出して絶望していた私を、桐生社長は救ってくれた。
傷ついた私を癒すために、包み込むような愛情を注いでくれた。

あの夜桐生社長が私を抱いてくれたことで、結果的に心の傷が埋められた。

それは事実だ。
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