2570 ー男子高校生とOLー
早苗さんといると日常に色が付く
はじめて生きることを楽しいと思った
「じゃあ、さつき君。おやすみ」
夜になると、彼女は俺が202号室に戻るのを見届けてくれる
部屋はいつも暗くて誰もいない
きっと気になっただろうが、彼女は俺に何も言わなかった
* * *
それから数日後のある日
傷だらけで帰ったことがあった
「え......」
見せるつもりはなかった
だから放課後は早苗さんの家には行かず、202号室に帰ったのだが
結局見つかってしまった
「さつき君!どうしたの」
鍵がかかっていなかったため、断りもなく部屋に上がる
彼女がこうして俺の家の中を見るのは初めてだ
いつから放置されているのか分からない酒の缶やたばこの吸い殻に顔をしかめながら、俺におそるおそる近づいた
「喧嘩?とにかく手当てしよう」
自分の家から救急箱を持ってきた彼女は膝や顔の傷を優しく手当てしてくれた
「さつき君、もしかしていじめられてる?」
あんまり彼女には知られたくないなと思いながら
考えれば想像つくことだな、とも思う
「うん」
貧乏人とか、汚いとか、学校ではそんな言葉ばかりかけられるのも
この見た目だから当然で
「ずっと......いじめられてるんだ」
そう呟いた俺を
彼女は力強く抱きしめてくれた