きみと、もう一度。

家を出ると、空は快晴だった。
私の気持ちとは裏腹の、透き通った綺麗な青空だ。


リョウさんに会ったら何を言おうか。
何を聞くのか。どんな言葉から始めればいいのか。

そればかりを考えていた。




少しずつ目に入ってくる公園。
不思議なことに、この距離からでも姿を捉えてしまった。

いる…リョウさん。



彼の姿を認識した途端、自然と小走りになった。
いけないいけない、落ち着いていかないと。
意識的に足を止めて、深く息を吐き、ゆっくり歩き出した。




「リョウ…さん」



普段通りを装った声で、ベンチに座る彼の名前を呼んだ。
ゆっくり振り向いたリョウさんの顔は、それも普段通りの穏やかな表情だった。


「おはよう、ゆなさん。今日は早いね」

「そちらこそ」


どんな言葉から始めようか、なんて考えていたほんの少し前までの自分が嘘かのように、いつも通りの流れで私たちの時間が始まる。


でも、このままこの時間に飲み込まれたら、何も知ることなく終わってしまうような気がした。



「あの、リョウさん」


聞くしかないんだ。
知らないこと、知りたいことは、待っているんじゃなくて、自分から聞くしかないんだ。、
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