花言葉
--春--

「えっ?月城雪花なんて生徒はいない?」

「ああ、うちの高校にそんな名前の生徒はいないぞ」


高校の入学式の日、雪花に会えなかった俺は次の日職員室で雪花のクラスを聞こうとした。


「雪花ちゃんいないって?」

「ああ…」

「中学の時の友達も知らないらしいし…受験落ちたとか?」

「まさか。成績の悪い俺が受かったんだぞ?雪花が落ちるなんてありえない」

「幼馴染なんだし家の人に聞いてみれば?」

「…そうする」


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「ただいま」

「あら、おかえり」

「なあ、母さん、雪花ってどこの高校?」

「え?知らないの?」

「しばらく話してなかったから」

「そうなの?」

「それで、どこなんだよ」

「日本にはいないわよ?海外の高校に進学したんですって。」

「--えっ…。海外ってどこだよ」

「それがどこの国か家族にも詳しく教えていないらしくて」

「そんな…」


(日本にいない…?少し引っ込み思案なところがある雪花が行き先を家族にも伝えないなんて、そんな大胆なこと…。くそっ、なんで、なんで黙って行っちまうんだよ!)
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