夏が残したテラス……
タオルで髪を拭きながら店へと戻った。

 テラスには、パパが手すりに寄りかかり海を見ていた。


 私達を見るなり、パパは言った。


「アホが……」

 パパは心配して急いで帰ってきたのだろう……


 私は思わず笑い出してしまった。


「アホって、言われてるよ。あははっ」


「俺だけじゃねえよ。奏海の事もだ」


「ええ―っ ウソっ― 私も? あははっ」


 パパが、手すりを確認しながら、嬉しそうにふっと笑った。


 こんな風に笑ったのは久しぶりだ。

 こんなに、心から楽しいと感じたのはいつぶりだろうか?


『ママ、私は、今すごく楽しいよ』
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