夏が残したテラス……
夏が終われば、夏限定の高橋くんのバイトも終わる。


 高橋くんのバイトの最後の日。
海里さんはケリを付けたとい言うが、私は高橋君に何も言っていない。恋愛経験の乏しい私には、何か正しいのかは分からないけど、高橋くんには自分の口から気持ちを伝えなければいけない気がした。


「奏海さん……」

高橋くんが、少し迷ったように声をかけてきた。
 私は、キッチンで片付けをする手を止め、高橋くんの方へ顏を上げた。


「高橋くん、ご苦労様。色々お世話になりました」

 私は、深々と頭を下げた。


 高橋くんは、困ったような目で私を見た。


「奏海さん…… 俺、約束したのに、プレゼント見つけられませんでした……」


「そんな事……」

 正直、何て言っていいのかわからない。


「僕、奏海さんは海里さんと一緒にいたら辛い思いするだけだと思ったんです。だから、よっぽど僕の方が奏海さんを幸せに出来るんじゃないかって本気で思ったんですよ。
 だけど、いくら探しても、奏海さんが喜ぶようなプレゼントが見つからないんです。海里さんより凄いプレゼント簡単に見つけられると思ったのに……」

 高橋くんは、少し悲しそうに微笑んだ。
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