夏が残したテラス……
ピピピピッ ピピピピッ

 テーブルの上のスマホが震え、慌てて手にした。

 画面には、パパと出ている。

「もしもし……」

「奏海、帰る途中なんだが、土砂崩れがあったらしくて通行止めなんだ。今夜帰れるか分からない。奏海一人でだいじょうぶか?」

 パパの不安そうな声がスマホからでも分かる。

「大丈夫よ。心配しないで、適当にゆっくり過ごすから」

 私は、凄く不安だった。でも、無理してパパに帰ってきて欲しくない。パパに何かあったら、そのほうか怖い。
 でも、峠って? パパ何処まで行っていたんだろう? てっきりこの地域の集まりだと思っていた。


「美夜さんに来てもらうか?」


「いいよ。こっちも結構荒れてきているし、無理だよ。」


「なるべく早く帰るから」


「私は心配ないから。パパこそ気を付け帰って来て」


「ああ」

 パパの不安そうな声は変わらないまま通話は切れた。


 窓の外は益々荒れてきて、正直怖い。


『ママ、怖いよ。嵐はもう嫌だよ。もう、何も奪っていかないよね』

 ママの写真に向かって言った。

 海里さんに会いたい……
 なんで、あんな事言っちゃたんだろ?


 ガタガタっと、テラスからの音が激しくなってきた。
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