幼なじみの甘い牙に差し押さえられました
山下さんの親切は嬉しいけれど、私にもできるような簡単な仕事を手伝って貰うのは悪い。
「バイトの仕事なんで大丈夫ですよ」
「ケチケチすんな。俺はたまに段ボール運ばないと死ぬ病気なんだよ、いいから箱を渡せ」
「そんな病気ありませんって」
何度断っても山下さんは頑として譲らず、結果的に運ぶのを手伝って貰ってしまった。
「それにしても、もっと良い移動先なかった!?ここ随分暗くね?」
「そうなんですよね。リストに載ってる所は好きに使って良いって言われてるんですけど、ここが一番近いんですよ。」
小早川さんに貰ったリストを山下さんに渡すと、不思議そうに首を捻っている。
「他は芝浦ふ頭、羽田倉庫……確かに徒歩で移動するとなると、ここしかないのか。」
山下さんは荷物を運びながら「こんなとこ俺も来たことねーよ」と辺りを見渡している。
「それにしても環くん……底なしの体力だな…」
最初は軽快に歩いていた山下さんだけど、10往復を越える頃には息が上がっている。いつも通りの速度で運んでいたのをひっそり反省して歩調を緩めた。
「俺はそれしか取り柄ないですから。山下さんの方が荷物が重そうだから、交換しましょうか」
山下さんの手に持っている段ボールを持ち上げようとすると「やめろ沽券にかかわる」と意地になって荷物を離さない。
「とにかく俺が持つからっ……。ぜー、はー。
そんなことより、もうすぐアンルージュの開店だろ。オープニングキャンペーンも練らないとな」
「ええっと……よくあるのはハンドタオルとかの小物をプレゼントするんですよね。」
「そうだな、販促品を配るなら女性ウケする可愛い小物で、予算は購入価格の5%未満。
せっかくならアンルージュならではのインパクトが欲しいよな」
アンルージュならではの可愛いもの。何となくキラキラしたイメージが浮かぶものの、具体的に何かを決めるのは難しい。
「ランジェリーに使ってるリバーレースが可愛いから、レースを生かしたものを作るのはどうですか?」
そう言うと何故か山下さんは目を丸くしている。
「俺、変なこと言いました?」
「……いや、別に。もし既製品を使いたくないなら急いで企画しろよ」
(照れくさそうな顔に見えるけど、どうしたんだろう?)
「バイトの仕事なんで大丈夫ですよ」
「ケチケチすんな。俺はたまに段ボール運ばないと死ぬ病気なんだよ、いいから箱を渡せ」
「そんな病気ありませんって」
何度断っても山下さんは頑として譲らず、結果的に運ぶのを手伝って貰ってしまった。
「それにしても、もっと良い移動先なかった!?ここ随分暗くね?」
「そうなんですよね。リストに載ってる所は好きに使って良いって言われてるんですけど、ここが一番近いんですよ。」
小早川さんに貰ったリストを山下さんに渡すと、不思議そうに首を捻っている。
「他は芝浦ふ頭、羽田倉庫……確かに徒歩で移動するとなると、ここしかないのか。」
山下さんは荷物を運びながら「こんなとこ俺も来たことねーよ」と辺りを見渡している。
「それにしても環くん……底なしの体力だな…」
最初は軽快に歩いていた山下さんだけど、10往復を越える頃には息が上がっている。いつも通りの速度で運んでいたのをひっそり反省して歩調を緩めた。
「俺はそれしか取り柄ないですから。山下さんの方が荷物が重そうだから、交換しましょうか」
山下さんの手に持っている段ボールを持ち上げようとすると「やめろ沽券にかかわる」と意地になって荷物を離さない。
「とにかく俺が持つからっ……。ぜー、はー。
そんなことより、もうすぐアンルージュの開店だろ。オープニングキャンペーンも練らないとな」
「ええっと……よくあるのはハンドタオルとかの小物をプレゼントするんですよね。」
「そうだな、販促品を配るなら女性ウケする可愛い小物で、予算は購入価格の5%未満。
せっかくならアンルージュならではのインパクトが欲しいよな」
アンルージュならではの可愛いもの。何となくキラキラしたイメージが浮かぶものの、具体的に何かを決めるのは難しい。
「ランジェリーに使ってるリバーレースが可愛いから、レースを生かしたものを作るのはどうですか?」
そう言うと何故か山下さんは目を丸くしている。
「俺、変なこと言いました?」
「……いや、別に。もし既製品を使いたくないなら急いで企画しろよ」
(照れくさそうな顔に見えるけど、どうしたんだろう?)