幼なじみの甘い牙に差し押さえられました
その時ガーターリングの試作品が出来上がったと連絡が来て、その後は急に慌ただしくなった。
肌当たりを優しくしたらフィット感が落ちてしまって、微調整する方法を山下さんと話し合う。試着の度に個室で着替えていたけど、だんだん歯痒くなって結局はストッキングとガーターリングを直に確認してもらうことにした。
山下さんの妹さんのショートパンツを貸してもらってガーターリングをすぐに付け替えられるようにし、調整と試着を繰り返す。
男性に太股を触られたりしてるのに全然気にならなかった。山下さんも完全に職人さんの雰囲気で、何も気にして無さそうだ。
「環くん、これでリボン位置オッケー?座ったり歩いたりして確めて」
「いい感じです!幅も調整できるからずれ落ちにくいですね」
「これさ、リングの部分を二重化したら普通に日常使いできる強度になるんじゃね?
記念品はこのままいくとして、新しい商品化も視野に…」
山下さんはぶつぶつと呟いたかと思えば工場用のミシンを動かして、予定外の試作品まで次々と作っていた。
「やっと終わったか。あーー疲れたなー…」
「オープン記念のプレゼントだけなら早く終わってたと思いますよ?山下さんがこだわっていろんなの作り始めるから」
「悪い悪い、なんか作業してると燃えてくるんだよな」
ちょっと文句を言ってみたものの、作業は楽しくて嫌じゃなかった。それが山下さんにも伝わってると分かるから、好きに軽口も言える。
ガーターリングのレースが積み上がった小さな山を見てると、フワフワと幸せな気持ちになった。