幼なじみの甘い牙に差し押さえられました
これは私だ。涼介は私のことをノートに書いてたんだ。


涼介は正義感が強い子で、最初は涼介のまっすぐな優しさが苦手だった。私とは住む世界の違う幸せな家の子なんだから、放っておいてくれればいいのにと、身勝手なことを思っていたのに。




〝12月20日 「おうちでクリスマスパーティーしないのはびんぼうだから?かわいそう」と何人かの女子が言って、あいつは女子をなぐった。女子がないてたけどあいつだけおこられたのがゆるせない。〟


「うわ…」


私ったら酷いな。涼介が書いている通り、私はカッとなるとすぐに手が出る子供だった。「パパに似たのね」とママに言われて、それからすごく気を付けるようになった。

そういえば、殴った私のことを気にしてくれたのは、涼介だけだった。



〝12月24日 家のカギ忘れたってウソをついた。ウソつくのはいけないことだ。でもおそくまでいっしょに遊んで楽しかった。もしサンタさんがいたら、あいつが今日さびしくないようにしてほしい〟



〝12月25日 違う。サンタさんはいない 。だからぼくがたまきをさびしくないようにする。〟
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