Sign of Love
■3

 膨大な書類をスキャンしてから、原本をようやく保管庫に収めた。午後九時。受け持ちの仕事が遅くなって、結局栞那にまで迷惑をかけてしまった。

 全部片付けて自席に座り直すと、栞那は人のすっかり掃けた事務所内で、化粧ポーチを開けて堂々とメイクを直し始めた。心はこのあとの飲み会に向かっているみたいだ。栞那は仕事だけじゃなく、気持ちの切り替えも早い。

「つき合わせてごめんね、栞那」

「終わったことはもういいって。今日酷かった上に、華美のやったやつ特にハズレだったし。ね、そんなことよりこの後さ、華美もディップパレス行くでしょ?」

「うーん、給料日前だからなあ。今月友達の結婚式が二回あって、ご祝儀貧乏なんだよね。それなのに、今日また違う結婚式に誘われちゃったし。ちょっと節約しなきゃ」

「新井部長に甘えちゃえば? 今日顔出すって言ってたよ。華美のことお気に入りだし、余裕で奢ってくれるでしょ」
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