Sign of Love
わたしも軽く頭を下げて、そのまま足早に通り過ぎたけれど、
「あ、佐倉さん」
優しい声に呼び止められた。聞こえなかった振りも出来なくて、わたしはそこに立ち尽くした。
「すみません、少しだけお待ちいただけますか」
坂巻さんは電話先の人にそう断ってから、鞄を下に下ろして何かを探し始めた。
「佐倉さん、良かったらこれ使って」わたしはさっと手渡された折り畳み傘を、つい受け取ってしまった。
「え? あの、」
「お待たせしました――」
……もう、電話に戻ってる。でも、なんで? これじゃ坂巻さんの傘がなくなってしまう。
話しかけることもできずに、ただ困惑していると、気にしないで、とでも言うように目でわたしを外に促そうとする。そんなことできない、とわたしは首を横に振った。
坂巻さんの両手は塞がってる。傘を返すことも出来ずに、わたしは結局坂巻さんの電話が終わるのを待つ羽目になった。
「あ、佐倉さん」
優しい声に呼び止められた。聞こえなかった振りも出来なくて、わたしはそこに立ち尽くした。
「すみません、少しだけお待ちいただけますか」
坂巻さんは電話先の人にそう断ってから、鞄を下に下ろして何かを探し始めた。
「佐倉さん、良かったらこれ使って」わたしはさっと手渡された折り畳み傘を、つい受け取ってしまった。
「え? あの、」
「お待たせしました――」
……もう、電話に戻ってる。でも、なんで? これじゃ坂巻さんの傘がなくなってしまう。
話しかけることもできずに、ただ困惑していると、気にしないで、とでも言うように目でわたしを外に促そうとする。そんなことできない、とわたしは首を横に振った。
坂巻さんの両手は塞がってる。傘を返すことも出来ずに、わたしは結局坂巻さんの電話が終わるのを待つ羽目になった。