Sign of Love
 おかわりのビールがふたつテーブルに届いた。わたしはすぐにグラスに手を伸ばした。

「今だから言えるけど、実はあの時データを戻せるかは五分五分だったんだ」
「ええ? だって坂巻さんあの時……、戻せるって」
 気付かれないように、さり気なく目元を指で擦る。

「うん、確かに言った。だけど電話の後に色々問題が出てきて」
 坂巻さんは少し間を置いて、申し訳なさそうに言った。

「佐倉さんは知らなかったと思うけど、前に僕が在籍してたインサイト・アーキテクツって、グループ会社向けサポートと、一般向けのシステム開発で部が別れてるんだ。実は僕は後者のほうで、完全に担当外だったんだよな。FAXをたまたま取ったってだけで」

 意外すぎる打ち明け話に、わたしはそのまま耳を傾ける。
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