Sign of Love
「それでも絶対に期待に応えないといけないって思った。……どんなに忙しくても、何も考えずにただ設計通りに作って『はい動きます』じゃ、駄目なんだよな。たったひとつの不便が、佐倉さんにあんな顔をさせてしまったのかと思ったら、申し訳ない気持ちになった」

 でもそれは、坂巻さんのせいなんかじゃないのに。気が付くと、まともに目を合わせることすら出来なかった坂巻さんのことを真っ直ぐに見つめていた。

「……何も知らなくてごめんなさい。わたし、エンジニアさんってPCのことなら何でも知ってるって勝手に思い込んでて、当たり前みたいにお願いしてしまって。

でも、ほんとうに助けに来てくれたことが嬉しかったんです。坂巻さんと話をした瞬間から『この人になら、全部を委ねられる』って思ってたって言ったら重いけど、ほんとうにそんな感じで。

……もし坂巻さんがあのとき直せなかったとしても、それでわたしが仕事を辞めていたとしても、全然後悔しなかったと思います。あんなにしつこく直して欲しいって言っておきながらおかしいんだけど、気持ちに応えようと懸命になってくれている人がいたって言うだけで、もう良かったから」
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