願わくは、雨にくちづけ

 強要したくはない。だけど、失いたくない。
 伊鈴と離れてしまったら、色を失った時間ばかりが待っていると容易に想像できる。

 そして、また雨が降り出せば、彼女がやってくるのではないかと願ってしまいそうで……。

 伊鈴を想うあまり乱れ続ける心に、立花はこの1年、常に振り回されているのだった。


(煌さん、今夜はどうしたんだろう……。新井くんのことを話さなければよかったの?)

「伊鈴、乗って」

 腰に手を回され、彼の膝の上に抱き上げられる。
 立花は、すぐにキスをして、腫れそうなほどに熱くなった唇を食んだ。


「かわいい。……伊鈴、好きだよ。愛してる」

 伊鈴の下腹部に、熱く硬い反応が当たった。
 ベージュのチノパンを押し上げ、堂々と求めるようにそこにあると、見ずとも分かるほどの雄々しさだ。

 
 動揺した伊鈴の様子に気づいた立花は、キスをやめて抱きしめる。

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