願わくは、雨にくちづけ
「――伊鈴」
上着をソファの背に掛けた立花は、涙目で見つめてくる伊鈴をギュッと抱きしめた。
(煌さんと離れるなんて、考えられないよ……)
未だに決心ができない自分の心にそう呼びかけるが、まだ踏み出せなそうになく焦れったくなる。
「伊鈴のためなら、俺はきっとどんなことだってするんだと思う。笑った顔が見たくて連れ出した1年前から、それは変わらないよ。これからもずっと、俺は伊鈴しか愛せない」
「煌さん……」
耳元でゆっくりと告げられる立花の言葉は、まるで愛をダイレクトに吹きこまれるようで、伊鈴の胸の奥をきゅんと鳴らした。
ふと、彼の腕の力が緩み、伊鈴は顔を上げる。
「伊鈴は、どうしてそんなにかわいいの?」
「……わかりません、そんなの。別に、かわいくないですよ」
「俺の目が狂ってるとでも?」
「そうじゃないけど……」
こんなに1日中甘やかされると、嬉しいのに恥ずかしくて頬が熱くなってきた。