願わくは、雨にくちづけ
「煌さん、大切なお話があります」
「ん? 今じゃなきゃダメ?」
キスに耽っていた立花は、離れてしまった彼女の唇と瞳を交互に見つめる。
危うく彼の色気に飲み込まれそうになりながらも、伊鈴はそっと身体ごと距離を取った。
「新井くんのことなんですけど」
「……うん」
(ムードを壊しちゃったかな)
せっかく立花が用意してくれた時間に、水を差すようで悪いと思いながらも、今しかないと彼女は口を開く。
「この前、お話してきたんです。新井くんは、煌さんには敵わないだろうから諦めるって言ってくれました。その代わり、新井くんの気が済むまで好きでいさせてほしいって言われちゃって……」
「それで?」
「なんだかそれもダメって言うのは悪い気がして、それでいずれ諦めてくれるならいいかなって」
「そう、わかった。話してくれてありがとう」
(煌さん、安心してくれたかなぁ)
話を聞いた立花は、伊鈴にキスを落とした。