願わくは、雨にくちづけ
「もっと大切に飲まなくていいんですか? これもいい値段がするんですよね?」
「伊鈴もワインが分かってきたのか。でも、この週末は特別だから贅沢しよう」
分かってきたというより、立花がいいと思うものは大抵高価なので、予想できただけなのだが、伊鈴はまぁいいかと話を流した。
(新井って男に直接会って、すぐに諦めるように説得するしかないな。俺の気持ちを確かめようとしてるのかもしれないし、悪い虫は早々に追い払っておかないと)
隣で少しずつワインを飲み、チーズを食べて「美味しい!」と喜ぶ伊鈴を見つめながら、立花は策を練っていた。
――フルボトルのワインを半分ほど開けた頃、エグゼクティブスイートのリビングには甘いキスの音が響いている。
ワインと立花のキスで、すっかり蕩けてしまった伊鈴は、息を乱しながら彼のくちづけに応えようと、口を開けて舌を絡めた。