願わくは、雨にくちづけ
「こんなキス、誰に教わったの?」
「……煌さん、です」
ふっと浮かべた笑みは、男の色気が乗っている。そんな彼の表情ひとつで、伊鈴はまたしても心の奥が疼くのだった。
「シャワー、浴びておいで。飲んで待ってるから」
「はい……」
(もう、本当に煌さんって意地悪が好きなんだからっ!)
部屋の片隅にベルマンが置いていった荷物からお泊まりセットを持って、伊鈴は火照った頬もそのままに、小走りで洗面室に入った。
――ベッドルームで待っているようにと言われた伊鈴は、ドキドキしながらキングサイズのベッドに座っている。
「あ、よかった。起きてた」
「シャワー浴びたら、目が冴えました」
伊鈴と入れ替わりにシャワーを浴びた立花は、グラスを片手にベッドに腰かける。
正座の膝を崩してぺたんと座っている伊鈴の髪を撫でてから、ワインを少量含み、ふっと息をついた。
立花はどんな時でも目に見えるような色気が漂っている。緩く合わせられているバスローブの胸元が視界に入り、伊鈴はすかさず目をそらした。