願わくは、雨にくちづけ
サイドテーブルを引き寄せ、グラスを置いた立花がベッドに右脚を上げて座り直す。
片手を彼女の背に回し、前触れもなくキスをすれば、伊鈴も彼の腕につかまって身体を寄せた。
「今夜は、伊鈴を徹底的に味わい尽くしたい」
(て、徹底的にっ!?)
初めて言われた誘い文句に、瞬きを繰り返す。
立花はどうやら伝わっていないと察して、キスの間を取った。
(せっかくオブラートに包んだのに)
彼女は仕事はできるようだけど、夜の営みに関しては処女のようにウブだ。そこがまたかわいい一面でもありつつ、こういう時ばかりは彼を困らせている。
「1回じゃ終われないけど、いいよな?」
「い、1回じゃ、ない!? ……って、えっ!?」
驚いている間にそっと押し倒され、耳に唇が這う。
「俺が果てるまでずっとだ」
(ずっと!?)
甘く囁いた彼は蠱惑的な瞳で伊鈴を見つめ、不安を払うように優しくキスをした。