願わくは、雨にくちづけ
――翌日。
朝から小雨が降ったりやんだり、傘の手離せない天気だ。
平日でも予定が合えば、昨夜のように一緒に過ごすことが増えた。
なので、茗荷谷の自宅ではなく、南麻布の立花邸から虎ノ門に出勤した伊鈴は、自席に着くなりすぐに仕事にとりかかる。
【送れなくてごめん。無事着いた?】
【気にしないでください。いま席に着きました。今日も1日頑張ります!】
デスクの傍らに置いていたスマートフォンが震え、メッセージを確認するとすぐに返した。
交際して約1年経とうとしているのに、未だに立花はマメに連絡をくれる。
今朝も予定がなければ会社まで送ろうとしてくれたようだったが、それが叶わなかったからとこうして気にかけてくれるのも、彼の優しさであり独占欲の片鱗でもある。