蒼い月と紅の灯火

「悪い悪い」




「そっちの口調のが楽なの?」




「んー、まぁ、そうだな」




別にいつもの俺も偽ってるわけじゃない。
ただ、本心としての我儘かどうかってだけで……。




「変なの」




「朱里……」




「え……?」




急に呼び捨てにするものだから目を真ん丸にする朱里。
その表情もとても愛らしい。




呼び捨てじゃなかったのは、我慢するためだったから。




「急にどうしたの」




「意地でも逃げはしないんだな」
< 142 / 156 >

この作品をシェア

pagetop