エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
一誠さん……。そんなこと言われなくたって、私にはあなたしか見えていないよ。
胸にくすぶる思いを視線に託して、彼をじっと見つめる。一誠さんも無言で私の瞳を見つめ、私たちの間だけ、時間が止まったようで。
「……巴」
一度、小さく私の名を呟いた彼が、そっと顔を近づけてくる。私は自然と目を閉じ、彼の唇が降りてくるのを待った。
そうして一誠さんがくれたのは、羽根のように軽いキスを一度だけ。
うっすら目を開けると、困ったように苦笑する彼がいた。
「これ以上は、ちょっと……。ダンスもパーティーも、どうでもよくなってしまいそうなので」
本当はもっとしたいのだけど、という空気を醸し出す彼がちょっと可愛くて、私はクスリと笑った。
私も、今夜はこれくらいでちょうどいい。これ以上したら、胸が苦しくなるだけだもの。
おとぎ話のお姫様と王子様には、触れ合うだけのキスがお似合いだ――。
私たちはその後も、星が瞬く夜空の下で微笑み合いながら、ぎこちなくダンスを踊った。