エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「ふう……」
パーティーがお開きになった後、私はトイレに寄って鏡の前で一人ため息をついた。
一誠さんのはからいで、途中からは二人で楽しい時間を過ごせたとはいえ、慣れないことばかりで疲れてしまった。
恋心を自覚して、想いは募るばかりだけど、彼が家柄のいい男性だと知ったことで、私たちの距離は逆に開いた気もした。
一誠さんは本物の王子様かもしれないけれど、私がお姫様でいられたのは、今夜だけのこと。偽りの恋人関係だって、もうあと半月すればおしまいだ。
……元々釣り合わない相手だったんだ。そう思って、徐々に心に折り合いをつけていくしかないよね。
自分に言い聞かせながらトイレを出て、廊下で待ってくれていた一誠さんの元へ戻ろうとしたその時。
「どうしたんですか、そんなに血相を変えて。今夜は、出張先に泊まる予定だったのでは?」
誰かと話す一誠さんの声が聞こえて、私は反射的にぴたりと足を止めた。
トイレの手前の壁に身を隠してそうっと声のした方を覗くと、そこで一誠さんと対峙していたのは驚くべき人物。