エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~

「はい。その代わり、終わったら何かご褒美いただけますか?」

「も、もちろん! 私にできる事なら何でも言って!」

私一人では明日の朝までかかったであろうこの作業も、器用な成田くんが手伝ってくれれば一時間もかからずに終わるだろう。

ご褒美って言うか、むしろ私からの感謝の気持ちとして、彼には何でもしてあげたい気分だ。

そうして私たちは作業を開始し、針と糸を使うのは成田くんに任せて、私は綿を詰めることに没頭した。

ほとんど無駄話もせずに進めたおかげか、あんなに苦労していたのが嘘みたいに、三十分ほどですべての教材が完成した。

優しい肌触りにふわっとした感触の野菜や肉や魚は、出来上がって見ればなかなかの出来栄え。

私は仕事を終えた解放感から、大量のそれに顔を埋めるようにして、デスクに突っ伏した。

「あ~~疲れたけど、やっとできた……」

「お疲れ様です。二人でやったから、早かったですね」

成田くんは疲れ切った私の様子をクスクス笑いながらも、優しいことを言ってくれる。



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