エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「ごめんね、成田くんの歓迎会なのに最後までいられなくて。ちょっと体調が悪くて、それを心配してくれた部長がタクシーで家まで送ってくれたの」
ごめん、嘘だよ成田くん……。背中に冷や汗が伝うのを感じつつ、心の中で懺悔する。
「そうだったんですか……もう、体調は大丈夫なんですか?」
「う、うん! 全然元気! そうだ、成田くんこそ、露子といい感じじゃなかった?」
……よしっ。とりあえず質問返しで形勢逆転。なんて、ちょっと有利になった気分でいたのもつかの間。
「ああ、佐伯さんですか。……かなり酔ってたから、ふざけてただけですよ。僕たちも、特に何もありません」
成田くんはあっさり露子との仲を否定し、冷やかすつもりだった私の笑顔がぎこちなく固まる。やばい。なんかまた微妙な空気にしちゃったみたい……。
「あ、もうこんな時間だ、コーヒー持って戻ろっか」
私は話をそらして成田くんにカップを渡し、早足で先に給湯室から出た。
これしきのことで動揺してたら、例のシミュレーション、ひと月なんてとうてい持つ気がしないんですけど……。
胸に一抹の不安を覚えながら、ぎりぎり始業時間前にオフィスに戻った。