エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「あの、眠れましたか……? この狭いベッドで」
「ええ、大丈夫です。巴という抱き枕もあったので、むしろ心地よかったですよ」
「そ、それはよかったです……」
昨夜の映画デートの後、彼の部屋に行くか私の部屋に行くかふたりで迷っていたのだけど、前回は彼の部屋だったし、部長が私の部屋を見てみたいというので、狭くていいならと前置きをして、このワンルームに連れてきたのだ。
人より長身の部長がいることでさらに部屋が狭く見えたけれど、彼自身は楽しそうに間取りやインテリアを眺めていた。
それがひとしきり済んだあと、彼は私をこの小さなベッドに組み敷いて。
『部屋全体から、巴の香りがする。……これで発情するなという方が、無理です』
そんな、丁寧な口調と裏腹の肉食な台詞を吐いた彼に、私はまたしても流されるまま、身体を許してしまった。
やっぱり私、すでに風間一誠という底なし沼にはまってる……?
昨夜のことを回想しながら自問自答していると、彼がぎしりと音を立ててベッドから降り、少し寝ぐせのついた髪を撫でながら、私に無防備な笑みを向けた。