私、いじめたアイツをオトしてみせます。〜イジワル男子攻略法〜
シーーーン……。
想像はつくかと思いますが、平坂くんが去った瞬間に、保健室内には静寂が広がっています。
えっと……。
向かいのソファでいまだにあくびをしてまだ眠そうな目をこする大槻くんは、そんなことは気にも止めてなさそうな模様。
「あの、大槻くん」
「……?なに?えっと、カンザキさん、だっけ」
「新垣です……」
覚える気なさすぎでしょ。
ってか初対面でも何でもないんですけど!?
私はいつもの調子でマイペースな彼を、目を細めてじっと見つめる。
「昔遥に絡まれてた人でしょ」
「え!」
「キスされてた人」
「……!!!」
あ、あれ……?
私のこと、名前は覚えてなくても顔は覚えてたの?
っていうか、あの場面やっぱり見られてたんだ……!そんな単調なトーンで言われても、私はひとり、小っ恥ずかしい。
大槻くんは目にかかりかけた前髪を少し鬱陶しそうに払いながらあの時のことを話してる。
私のことなんて何一つ覚えてすらないと思ってたのに、物凄く意外だった。
「なに、遥のファンなの?あんだけからかわれてた挙句また同じ高校に入学するって、君もしかしてドMな人?」
「なっ……!」
何でそうなる!!
珍しく文字数多めに喋ったかと思えば、斜め上過ぎてツッコミどころに迷う。
「わ、私もまさか同じ高校に進学してるなんて知らなかったよ……!」
「ふうん…」
って、聞いといてそれだけ??
ダメだ、この人のペースに巻き込まれてたらとんでもない方向に流されちゃう。
大槻郁磨……。
直接話したことって小学生の頃もほとんどなかったと思うけど、やっぱり実際に会話してみても、この人の考えてることってよくわからない。
なにも考えてない可能性も大いにあるけれど。