順番





目の前には彼女の家
車がある

旦那が帰っているのだろう


インターフォンを押すと中から男の声が聞こえた

扉を開けて俺を見た旦那は一瞬驚いたが諦めた様に目を伏せた


「次はお前か」


そう言って、俺を中に招き入れた
旦那は全て知っているのか
妻の浮気も
俺の存在も


「お前と昴は何年?」

「あ、10年」



少し驚いて、煙草に手を伸ばした



「お前で四人目か?」

「え?」

「お前も昴に抱かれたんだろ?」

「………」

「昴を抱ける男だよ、お前で四人目」

「旦那さんですよね?」

「あいつの旦那はとっくに死んだよ
それからあいつは誰とも結婚してない
それでも、旦那と同等の権利を与えられて昴を抱けるのは一人だけ
今は俺だよ
そして、次がお前」


ぞくっとした
やっぱり、欲しい
その権利を

西野昴を抱きたい


「昴がお前を選んだなら俺のお役は終わった
昴を抱けないなら生きていく価値が無いからな
お前、もう帰れ」

「え?」

「大丈夫だ、こんな日が来た時の準備はしてる」



引き出しから薬を出した


「三年前、そこに立っていたのは俺だよ」


そう言って、俺を追い出した








「木谷部長、今日家に来て下さい」


俺は一瞬にして昂った
下半身に集中する熱をなんとか押さえた

それは、あの男に会ってから10日目だった



俺は初めて西野昴を抱いた
いつもあった身体の痕は殆ど消えていて
俺は益々興奮して、何度も何度も抱いて
いくつもの痕を残した



そして、俺は




薬を買って準備をする








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