さようなら、初めまして。

…ジンさん。お互い、確証は無いままの、仮定の話…。
突然会えなくなったままの悠人。私の前に現れた悠人に似た雰囲気のジンさん。
会えなくなった理由……それはそうなって欲しくない理由。…似ている理由…それを無理やりこじつけたら、悠人はジンさんの中に居る…。のかも知れない…。居ないのかも知れない。そんな話をしている。

「…人と関わりたくない」

「え？」

「…そんな荒んだ気持ちでずっと過ごしていた。俺はずっとそんな考え方で一生…。普通に…当たり前のように生活している周りの人間が、特別な事じゃないですよって顔で過ごしている事に、俺は…、ずっと羨ましくて…」

…あ、……。

「小さい頃、走りたくても走っちゃいけない。駄目だと止められる。なんでだよって、意味も理解出来ずクサるばかりで…。負荷がかかるような激しい運動はできない。ただ大人しく居るだけ。子供の時だって、大人になってからだって、フラストレーションの塊だった。…俺…携帯、持つよ」

「え？」

「それで連絡先を知っていれば安心なんだろ？そうすればアイちゃんと会える？会ってくれる？…フ……そういう事ではないな。連絡先を知るのは安心の為で、似てる俺が駄目なんだよな…」

…。

「誰のモノかは解らないけど、もし、会えた事がこの心臓の、何て言うか、引き合わせだったとしたら、そういうこと、アイちゃんはやっぱりそうじゃないかと思って辛いだけだもんな」

「…ジンさん」

「だから、さよなら、なんだよな。…うん、居れば居るほど悩ませる、辛いんだもんな。これでさよならだ。
…楽しかった。俺は凄く楽しい時間だった。訳も解らず、強引な全ての誘いにつき合ってくれて有り難う。…もうこれ以上は、だよな。空気は読むもんだ……うん。
有り難う、アイちゃん。…じゃあ」