死にたがりティーンエイジを忘れない
文系特進クラスは六対四の割合で女子のほうが多い。
一方、理系特進は三対七で女子が少ない。
体育の授業は文理の特進クラスの合同になるらしい。
ほかのクラスも、男女の割合を見ながら二クラス合同でやるんだそうだ。
わたしは気が重かった。
同じクラスのひとみだけじゃなく、せっかく別のクラスになった雅樹とも結局、接点ができてしまうなんて。
胃に鈍痛を覚えるわたしとは裏腹に、ひとみの滑り出しは好調だった。
自己紹介で、ひとみだけはクラスの全員に顔と名前を覚えてもらったはずだ。
「木場山という山奥のいなかから来ました! 下宿生です。平日と土曜日の朝ごはんと晩ごはんとお昼のお弁当は、下宿屋のおばちゃんに作ってもらいます。
日曜日はごはんがないので、勇気を出してコンビニやファミレスに入ってみたいと思います」
担任が呆れたように笑った。
「コンビニもファミレスも入ったことないの?」
「木場山にはなかったんです。家族旅行もしたことないので、よその土地って、修学旅行を除けば初めてで。この琴野町はそんなに都会じゃないって、みんな言いますけど、あたしにとっては便利すぎて、都会だなって感じです」