死にたがりティーンエイジを忘れない
新しい学校で、わたしは帰宅部だ。
あちこちの部に呼ばれて見学だけはした。
でも、何もしないことにした。
木場山中のバレー部は楽しかったけれど、集団行動が疲れるときもあった。
琴野中では部活を何もしないという選択肢があると知ったとき、ホッとした。
こういうのがわたしの本質なんだと思う。
わたしは、みんなで一つのことに熱中する、ということができない。
一歩、引いたところにいる。
一緒に笑ったり泣いたりしてみせる自分を、観客席にいるもう一人の自分が眺めている。
人との出会いと別れもそう。
初めましての瞬間に、別れの日までのカウントダウンを始める。
相手との間に透明な壁を作っておく。さよならするとき、悲しみのダメージを受けずにすむように。
わたしとの再会を喜ぶみんなの真ん中で、わたしは声を上げて笑ってみせながら、心はひどく冷めていた。
もう木場山には来ない。
わたしが抜けた穴は、とっくにふさがっている。
戻るための場所は、もうここにはないんだ。
部活を終えて制服に着替えた雅樹が、陸上部の同級生と一緒に門から出てきた。
雅樹はわたしのほうにチラッと笑ってみせた。
わたしは目をそらした。
気持ちが晴れるんじゃないかと思って木場山に来てみたのに、逆に心がふさぐだけだった。
ゴールデンウィークが過ぎたら、また毎日、琴野中に通わなければならない。
できるんだろうか?
できないんじゃないか。
わたしはこのまま学校に行けないんじゃないだろうか。