死にたがりティーンエイジを忘れない
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胸に差した恐れは、現実のものになった。
学校、という世界が、真っ黒で重たい存在感でのしかかってくる。
わたしはその下に踏みつぶされて動けない。
朝、起きることが苦痛だ。
セーラー服のそでに腕を通すことが苦痛だ。
同じ制服の群れの中を登校するのが苦痛だ。
教室で自分の席に座っているのが苦痛だ。
授業中に聞こえてくる雑談の声が苦痛だ。
先生の隙を突いて手紙を回すよう、背中をつつかれるのが苦痛だ。
休み時間の楽しそうな悪口が苦痛だ。
給食の時間が苦痛だ。
下ネタばっかりの恋バナに誘われるのが苦痛だ。
トイレに行くとき、ついてこようとする人が苦痛だ。
小テストで隣の人と交換して丸付けするのが苦痛だ。
「成績いいんだね」と、下心のある目をして近寄ってくる人が苦痛だ。
集会で人酔いするのが苦痛だ。
親切そうな様子で、わたしの顔をのぞき込む人がいた。
クラスでいちばん派手な女子。
「蒼ちゃん、学校、慣れてきた? この学校さー、転校生が多いんだよね。ウチも中学に上がるときに引っ越してきたクチだし。
だからさー、転校生のいじめって、あんまないんだ。元よそ者って苦労するじゃん? そのへん、ウチらみんなわかってるもん」
そう、転校生はいじめのターゲットにならない。
それはわたしも感じていた。
だけど、この学校にはいじめがある。
たくさんある。
ターゲット選びがどういう基準なのか、わたしにはわからないけれど。