死にたがりティーンエイジを忘れない
その日、クラスでいちばん派手な彼女は、たびたびわたしに話しかけに来た。
彼女のグループはみんなスカートが短くて、化粧をしている。
わたしは全然そんなタイプじゃないのに。
放課後、別のグループの女子たちがわたしを囲んで、ひそひそした声で口々に種明かしをした。
「蒼ちゃん、あの子ら、うるさかったでしょ? あの子ら全員、すごいバカなんだよね」
「バカだよねー。授業中も遊んでるじゃん。塾もね、おバカご用達のとこに行ってて、しかもレベル低いクラスなんだよ」
「ウチらの学年、ここ何年かでいちばんバカなんだって。先生たちが言ってた。その中でも、あの子ら、いちばんバカだからね」
「蒼ちゃんをグループに引き入れて、平均レベルを上げようとしてるっぽいけど」
「っていうか、宿題とか予習とか写させてほしいからじゃない?」
「だよねー、ずるいよねー。すっごいヤな感じ」
「ねえ、蒼ちゃん、ウチらのとこ来たらいいよ。アタシらは、ニュータウンができる前から琴野に住んでる家のグループなんだよね」
「そう、おじいちゃんが地主さんって子ばっかりなの。だからね、アタシらといたら、いろいろ安心だよ」
「あの子らの家ビンボーだから、一緒にいたら、リップとかメモ帳とか、すぐなくなるよ」
「怖いんだよねー。でも、絶対、盗ったとか言わないし」