死にたがりティーンエイジを忘れない


頭が働かない。

勉強だけはする。

中間テストの点数はよかった。

学校でも、口を利かない。

体育や音楽の先生からは「出席しろ」と文句を言われる。

うなずくことはできない。

きっと嘘になるから。


一日一日、ドロドロと間延びしながら、ひどくゆっくりと過ぎていく。

頭が痛くて胃が痛くて、体が動かない。

何も感じたくない心は、冷たい泥沼に沈むように、どんどん鈍っていく。


罪悪感と情けなさが絶え間なく襲ってくる。

学校に通うという普通のこと、当たり前のことができない。

こんな自分が情けない。


ひとみから電話がかかってきたとき、わたしは寝ているふりをした。

ひとみの前で、情けない自分をさらけ出せるはずがなかった。

雅樹からも二度、電話があった。

わたしは応じなかった。


夏が目前に迫ったころ、眠れない真夜中に窓を開けて、涼しい風を部屋に入れながら、何となく唄を口ずさんだ。


声を息に乗せて、喉を震わせる。

小さな声で歌う。


歌うことは好きだ。

木場山中のころ、合唱部に入らなかったのは、声楽の歌い方にはピンとこなかったから。


わたしが好きな曲調は、テンポが速くて明るい唄。

ラヴソングは苦手。

ダンスミュージックもちょっと違う。

アニメの主題歌にあるような、自分自身を見つめる歌詞や、未来に進んでいこうとする力強い歌詞がいい。


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