死にたがりティーンエイジを忘れない


夏服は袖が短い。

撫で肩気味で、二の腕がプヨプヨして太いわたしは、冬服のときよりも明らかに太って見えた。


やせたい。


落ちてくれない二の腕の肉をつかんでねじって引っ張って、噛み付いて歯型を付けた。

白い皮膚の下に血の色が散って、真っ赤なアザができた。


一学期の終わりまであと数日となったある日の休み時間、ひとみに後ろから抱き付かれた。

夏服越しの柔らかさと体温にゾッとした。


「蒼ちゃーん、たまにはかまってよ。ほんと、やせたよね」

「別に」

「最近、お出掛け、行けてないね。つまんない」

「わたしはそういう余裕ない。暑いから離れて」


ひとみは、わたしの手元をのぞき込んだ。


「夏休みの課題、もうやってるの? 勉強合宿の最終日までに仕上げればいいのに」

「わたし、合宿は行かないから」

「えーっ、今年も?」


受験生の勉強合宿は七泊八日。

避暑地として有名な高原の研修施設を利用して、朝から晩まで、一日十三時間の缶詰の勉強をやらされる。


大部屋に六人から七人。

学校から運んでいった机をそれぞれ壁に向けて、ひたすら一人で勉強、私語厳禁。

三度の食事とおやつ、朝の散歩、夕方の体操と入浴、先生方が待機する質問部屋に行くことのほかは、トイレしか自由がない。


< 210 / 340 >

この作品をシェア

pagetop