死にたがりティーンエイジを忘れない
夏服は袖が短い。
撫で肩気味で、二の腕がプヨプヨして太いわたしは、冬服のときよりも明らかに太って見えた。
やせたい。
落ちてくれない二の腕の肉をつかんでねじって引っ張って、噛み付いて歯型を付けた。
白い皮膚の下に血の色が散って、真っ赤なアザができた。
一学期の終わりまであと数日となったある日の休み時間、ひとみに後ろから抱き付かれた。
夏服越しの柔らかさと体温にゾッとした。
「蒼ちゃーん、たまにはかまってよ。ほんと、やせたよね」
「別に」
「最近、お出掛け、行けてないね。つまんない」
「わたしはそういう余裕ない。暑いから離れて」
ひとみは、わたしの手元をのぞき込んだ。
「夏休みの課題、もうやってるの? 勉強合宿の最終日までに仕上げればいいのに」
「わたし、合宿は行かないから」
「えーっ、今年も?」
受験生の勉強合宿は七泊八日。
避暑地として有名な高原の研修施設を利用して、朝から晩まで、一日十三時間の缶詰の勉強をやらされる。
大部屋に六人から七人。
学校から運んでいった机をそれぞれ壁に向けて、ひたすら一人で勉強、私語厳禁。
三度の食事とおやつ、朝の散歩、夕方の体操と入浴、先生方が待機する質問部屋に行くことのほかは、トイレしか自由がない。