死にたがりティーンエイジを忘れない
「わたしが行ったら、むしろ邪魔なんじゃない?」
〈そんなわけない。女子ひとりだから、あれかもしれないけど〉
「そこは気にしない」
〈じゃあ、来いって。六時半、現地集合。費用は五百円で、残りは先生が出してくれる。試験のストレスで食えないって言えば、みんな状況は察してくれるから、好きなものだけ食ってろよ〉
「……わかった」
〈待ってるぞ。あと、あのさ……もう一つ、あるんだ。話。蒼にだけは、今のうちに言っとく〉
明るかった雅樹の声が突然、ため息とともに沈んだ。
「話って何?」
少しの間、沈黙。
それから雅樹は低い声で告げた。
〈おれ、落ちたよ。物理で、やっちゃった。デカい問題をまるまる一つ、完全にミスった。あれが点数にならないんじゃ、無理だ。確実に落ちた〉
わたしよりもずっと判定のよかった雅樹が、ダメだった?
「それ、本当に?」
〈後期試験は確実に通りそうなところしか受けないつもりだし、蒼と腐れ縁で一緒の大学っていう予定が変わっちゃったね。まあ、これはまだ誰にも言わないでほしい。とりあえず今日は、お疲れさんって笑っとくから〉
「わかった」
しゃべったこともない人も交えてのお疲れさま会は、割とあっさり、夜八時になるころにはお開きだった。
雅樹は明るく笑っていた。
目元や頬が少しこけていた。
あまり寝ていなかったんだろう。
平田先生はひとみのことを何も話題にせず、だからわたしも何も話題にしなかった。