死にたがりティーンエイジを忘れない


センター試験と本番と、ラッキーが二つ。

一点の差で泣いたり笑ったりの運命が決する大学入試だ。

わたしはやれることを全部やり切って、その上で運にも味方された。


それでもたぶん落ちるだろう、と思うことにはしていた。

だって、ギリギリで間に合わせたとはいえ、判定はいつもEやFだ。

家に帰ったら、後期試験の勉強を始めるとしよう。


地元は響告市から遠いから、もう一泊して、翌日の午前中の新幹線で帰る予定だった。

バスでホテルに戻る。

親にメールで報告しようと思ってケータイを取り出したとき、雅樹から電話が来た。

雅樹は、確かすぐ道向かいのホテルに泊まっている。


「もしもし?」


雅樹のはずんだ声が電話の向こうから聞こえてきた。


〈終わったな。お疲れ。晩飯、どうする予定?〉

「食べる気がしない」

〈おれは腹減った。おれんとこのホテルの一階にさ、オーガニック野菜がどうのこうのっていうカフェが入ってんだけど、来ない? てか、来てもらわないと困る〉

「困るって、どうして?」

〈うちの担任が引率で来てるだろ。理系はおれを含めて三人、ここを受けてるから。せっかくだからみんなでお疲れさま会をやろうってことで、蒼にも声掛けるように言われた〉


理系特進の平田先生は、ひとみの好きな人だ。

センター試験の後、クレープ屋でひとみを切り捨てたときの会話が頭によみがえった。

試験勉強に没頭する間、ずっと忘れていたのに。


< 241 / 340 >

この作品をシェア

pagetop