死にたがりティーンエイジを忘れない
センター試験と本番と、ラッキーが二つ。
一点の差で泣いたり笑ったりの運命が決する大学入試だ。
わたしはやれることを全部やり切って、その上で運にも味方された。
それでもたぶん落ちるだろう、と思うことにはしていた。
だって、ギリギリで間に合わせたとはいえ、判定はいつもEやFだ。
家に帰ったら、後期試験の勉強を始めるとしよう。
地元は響告市から遠いから、もう一泊して、翌日の午前中の新幹線で帰る予定だった。
バスでホテルに戻る。
親にメールで報告しようと思ってケータイを取り出したとき、雅樹から電話が来た。
雅樹は、確かすぐ道向かいのホテルに泊まっている。
「もしもし?」
雅樹のはずんだ声が電話の向こうから聞こえてきた。
〈終わったな。お疲れ。晩飯、どうする予定?〉
「食べる気がしない」
〈おれは腹減った。おれんとこのホテルの一階にさ、オーガニック野菜がどうのこうのっていうカフェが入ってんだけど、来ない? てか、来てもらわないと困る〉
「困るって、どうして?」
〈うちの担任が引率で来てるだろ。理系はおれを含めて三人、ここを受けてるから。せっかくだからみんなでお疲れさま会をやろうってことで、蒼にも声掛けるように言われた〉
理系特進の平田先生は、ひとみの好きな人だ。
センター試験の後、クレープ屋でひとみを切り捨てたときの会話が頭によみがえった。
試験勉強に没頭する間、ずっと忘れていたのに。