死にたがりティーンエイジを忘れない


これをやろうと決めたときのわたしの学習能力と集中力は、極端に高くなる。

そのアンバランスな能力と、食べ吐きを繰り返してしまう摂食障害と。

わたしの体はどんどん壊れていった。

精神状態も、もちろん悪かった。

悪い精神状態に引っ張られて、また食べて吐いて。


悪循環が続いた。

大学の授業はおもしろくて、バイトに集中している時間も悪くはなくて、でも、それ以外のときには何ひとつ心が弾まない。

小説にもギターにもレンタルDVDにも、なかなか関心が向かない。


小説も書かないし、ギターの練習もしなくなった。

堕落した自分がイヤだった。

自分を責めて責めて責めて。

そんな精神状態で恋愛感情が湧くはずもなく、笹山を好きになることもできないままだった。

感情もない相手と付き合っていることがまた、わたしにとって苦痛だった。


夏はもう目の前だった。

そんなとき、忘れていた相手から数ヶ月ぶりの電話が掛かってきた。


竜也だった。


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