死にたがりティーンエイジを忘れない


笹山が入っているのは、格闘技をテレビやDVDで観戦する緩いサークルだ。

そのはずだ。

確か、LOVEコングというサークル名で。


「このサークル、しょっちゅう合コンしてますよ」

「合コン?」

「女の子と会って、その、どこまでやってるのかとか、おれはわかんないですけど、会ってるのは事実で。サークルの掲示板、あるんです。写真のリンクも貼ってあって、それで」

「この写真も、掲示板で?」


当時の掲示板というのは、今でいうラインやツイッターなどのSNSだ。

LOVEコングの連絡用掲示板は裏サイトでもパスワード制でもなかったから、ツイッターの公開状態で内輪の話し合いをしていたようなもの。


竜也は本当に十五分で話を切り上げて、顔を曇らせながら自転車で走り去った。

わたしにこのこのを伝えるかどうか、一週間くらい悩んだらしい。


「おれでよければ、話とか、聞きますから」


竜也がわたしに言ったのは、それだけだった。

笹山に対して何を思ったか、そういうことは一言も口にしなかった。


< 312 / 340 >

この作品をシェア

pagetop