死にたがりティーンエイジを忘れない
笹山が入っているのは、格闘技をテレビやDVDで観戦する緩いサークルだ。
そのはずだ。
確か、LOVEコングというサークル名で。
「このサークル、しょっちゅう合コンしてますよ」
「合コン?」
「女の子と会って、その、どこまでやってるのかとか、おれはわかんないですけど、会ってるのは事実で。サークルの掲示板、あるんです。写真のリンクも貼ってあって、それで」
「この写真も、掲示板で?」
当時の掲示板というのは、今でいうラインやツイッターなどのSNSだ。
LOVEコングの連絡用掲示板は裏サイトでもパスワード制でもなかったから、ツイッターの公開状態で内輪の話し合いをしていたようなもの。
竜也は本当に十五分で話を切り上げて、顔を曇らせながら自転車で走り去った。
わたしにこのこのを伝えるかどうか、一週間くらい悩んだらしい。
「おれでよければ、話とか、聞きますから」
竜也がわたしに言ったのは、それだけだった。
笹山に対して何を思ったか、そういうことは一言も口にしなかった。